NISHINOYA

「DAISHI NISHINO SPECIAL INTERVIEW」

パンツ専業ブランド「NEAT / ニート」。
NEATが創るパンツは、クラシックな印象でありながら、カジュアルライクでスニーカにも合うパンツが揃っている。そしてシルエットや生地には、デザイナーのこだわりが随所に現れ、特にヴィンテージの生地を使ったコレクションは、コアな洋服好きを魅了してきている今とても注目のブランドである。そんな絶大な人気を誇るNEATのNISHINOYA(にしのや)に、URBSが別注したエクスクルーシブコートが、満を持して発売する。
今回は発売に合わせ、NISHINOYA代表兼NEATデザイナーの西野大士氏の元へ赴き、別注コートとブランドの背景やものづくりについて伺った。

洋服への情熱が人から人へ伝わる

村手:展示会でお会いして話しはしていましたが、西野さんのものづくりのきっかけを改めて教えていただきたいです。

西野:元々は小学校の教員をしていましたが、洋服が好き過ぎて退職をした後に、バンタン(バンタンデザイン研究所)へ入学をしました。卒業後に大阪のBrooks Brothers(ブルックスブラザーズ)で販売員をしていたんです。
東京へ移動になってからは、Brooks Brothersの広報宣伝業務(PR)に携わり、その後フリーランスとなってayameなどをお手伝いさせてもらっている時に、NEATを始めました。それがブランドとしての始まりですね。
Brooks Brothersはアメリカの文化に触れているブランドなので、今でもアメリカファッションは製作時のベースにあります。

村手:NEATは卸で始めたわけではないんですよね。

西野:そうですね、長年ブランドのPRに携わっていたので、卸売の経験はありませんでした。初めは単純に“欲しいものを作りたい”と思って始めました。

村手:ものづくりの経験なしで最初はどうやって作っていったのですか。

西野:知り合いの人からパタンナーさんを紹介していただいて、その方に最初は作っていただきました。自分が欲しいと思うものをいくつか作っていると、徐々に友人から「自分にも作って欲しい」と言われる機会が増え、結構な数を作ることになってしまいまして。友人に衣服生産ができる会社を紹介してもらい作っていただきました。
そしてこれもまた友人の紹介で知り合った方に、卸をしてみないかと誘われまして、今の形になっていきました。

村手:そうだったんですね。今では人気がどんどん広がってきていますよね。

西野:当時は想像つかなかったです。ですが、今でも小さく続けていきたいという気持ちもあるんです。

NEATが提案する生地への思い

村手:ayameの展示会でお会いして話しをさせてもらったり、僕もNEATのパンツをはいていたので、何か一緒に企画したいと思っていました。その中で2年前にコートを一緒に作らせてもらいましたね。NEATが扱う生地は、好きな生地が多くて“この生地を使うんだ”って思いましたし、テントクロス地を使用するなんて今では珍しいと感じました。

西野:パンツにテントクロス地を扱うって、当時は画期的だと思っていたのですが、昔は結構あったらしいんですよね。NEATが知られるきっかけになったのも、このパンツがきっかけだと思います。

村手:生地を決める基準はあったりするのでしょうか。

西野:Brooks Brothersにいたということもあるので、長年生地は見ていました。
例えば、Brooks Brothersが7ウィールや9ウィールのコーデュロイ生地を扱っていれば、BLACK FLEECE(ブラック フリース)では、5ウィールを扱っているなどの感覚で、スタンダードでオーセンティックのものを少し大げさにアレンジするいう感覚は、好きだと思います。
カルゼ生地を鬼カルゼ(通常より畝の太いカルゼ)にチョイスしたり、コーデュロイもジャンボコーデュロイを使用したりしています。
ベースはオーセンティックなもので、そこに少し変化加えることが多いです。

村手:生地選びもそうですが、西野さんの持っているファッション感覚などは好きなので、話しをしていると共通言語がすごく多いなと感じます。

西野:身に付けているものは、いたってシンプルであまりデザインされてないものが多いような気がします。シンプルだけど着こなしや色、サイズなどで自分らしさを表現するのは、村手さんと似ている感覚を持ちます。
ありがたいことに最近は少し上の世代の方たちとお仕事をご一緒する機会が増えまして、混ぜていただけるのは嬉しいです。

変わらない形で着続けてもらえるものを作る

村手:今回のコートは、NEATのパンツとセットアップで着ることができます。また僕のイメージで西野さんはジャケットよりコートのイメージがあったんですよね。

西野:作る上での共通認識として、好きな形というのはずっと変わらず着続けると思っていまして、そういう不変なものを世に出していきたいと考えて製作をしました。
NEATでも基本的には変わらない形で製作をしているので、今回のコートでも着続けたいと思うシルエットをベースとしています。

あとコートのデザインといっても色んな形がありますよね。綺麗なAラインが出るシルエットなど今っぽいなと思いますが、敢えてその時代では評価されなかったデザインからインスピレーションを受けて、NEATならではの解釈から提案をしたいと思いました。

西野:レザーのコートでいうとステッチ部分はAMFでレザーの手縫い感を出しています。丈夫さと柔らかさを兼ね備えたコートです。また首元は大事だと思っていて、2型とも襟はある程度立って綺麗に着れるようにこだわりました。

村手:シルエットが綺麗なので誰が着ても似合うと思います。デニムだったり、普段持っている色んな洋服に合わせてほしいですね。それと生地は実際に手にとってほしいです。

西野:ウールギャバジンコートの表面はヴィンテージのトレンチ素材を再現しているので、ウールギャバジンならではの、滑らかで柔らかい素材感で、縦から下にストンと落ちるシルエットを楽しめると思います。

西野:あと裏地はコットン/キュプラを使っています。

村手:シルクのような光沢感が上品ですし、袖も通しやすい。コットンは天然繊維なので長持ちもします。

ファッションの情熱を伝えること

西野:個人的には、洋服をたくさん買うようにしています。ファッション業界に入る人が少なくなっているのは、給与面や労働環境などマイナスなイメージがあると思うんです。
ですが、そうではないということを僕たち業界の先輩が見せないといけないと思うので、欲しいものは買っています。
洋服が好きだからファッション業界に入ったのに、好きな洋服を買えないのは悲しすぎますよね。
自分自身も若い時はそういう経験もありましたが、業界を目指している人に、その先にこんな風に仕事をしている人がいるという背中を見せて伝えていきたいと思いますし、それが僕の将来にも繋がると感じています。もっと純粋にファッションを好きな人たちが増えると嬉しいです。

村手:そうですよね、僕はバイイングを長年しているので、価値ある商品を揃えて伝えていかないといけないと思っています。
世の中には、面白い人やものが本当にたくさん存在しているので、URBS(アーバンリサーチ バイヤーズ セレクト)を通して知って好きになってもらえたら嬉しいですし、その出会った人たちが世に知れ渡り、更に次の挑戦ができるようになることをURBSとしてのビジョンの1つでもあると考えています。

NISHINOYA × URBAN RESEARCH

西野 大士 (にしの だいし)

1983年生まれ、淡路島出身。
小学校の教師をするかたわらバンタンデザイン研究所に通い卒業。
老舗アメトラブランドの販売員を経てプレスに。
退職後、様々なブランドのPRを担当しながらトラウザーズ専業ブランド「NEAT」を立ち上げる。
現在は、プレスオフィス「NISHINOYA」も経営し、国内外20ブランド以上のPRを担当する。

株式会社にしのや
村手 謙介(むらて けんすけ)

学生時代から大阪の「アーバンリサーチ」でショップスタッフとして勤務。2002年の関東進出を機に東京へ転勤し、店長を経てバイヤーへと就任。現在はメンズバイイング・商品企画など様々な業務を担っており、同時に「アーバンリサーチ バイヤーズ セレクト(URBAN RESEARCH BUYERS SELECT)」の中心人物でもある。