ENGINEERED GARMENTS×LOWERCASE

「2人が語る、コラボレーションとNYの魅力/後半」

ENGINEERED GARMENTS(エンジニアド ガーメンツ)とLOWERCASEがコラボレーションをし、シャツのコレクションを展開。今回は梶原由景が「自分が着たい」と思う、大人の男性に向けたシャツを3型リリースする。デザインは、長袖と半袖のプルオーバーのシャツに、ビッグシルエットのシャツ。対談後半ではその制作背景を聞く。

対談の後半記事は、URBSにて先行公開。前半の記事はこちら。

  • Photo_ Ko Tsuchiya
  • Interview&Text_ Aika Kawada

Supported by Ring of Colour

—コレクションのコアとなるアイテムは?

梶原由景(以下、梶原):半袖のプルオーバーのシャツです。プルオーバーは、個人的にデザインが好きですが、洋服の機能やスタイリングのしやすさについては、オールマイティではないと思っていて。なので、“フェイクプルオーバー”と名付けて、見た目はプルオーバーだけど、実は普通の前開きのシャツと同じ仕様になっているデザインを考案しました。同じタイプの長袖も展開します。

—ビックシルエットのシャツについてはいかがですか。

梶原:最近、よく目にするスタイリストの長谷川昭雄さんが手がけているビッグシルエットのスタイリング。とても好きなのですが、若い人には似合うけれど、僕らの年齢の人がするとぶかぶかの洋服を着た変な人になってしまう。それもあってビッグシルエットのシャツを、デザインの“妙”で大人が着られる形に仕上げていただきたいと思い提案しました。

—このリクエストについて、どのように思われましたか。

鈴木大器(以下、鈴木):すごくいいアイディアだと思いました。アイテムそれぞれの方向性についてもなるほどと納得しましたし、梶原さんらしいですよね。ど定番なんだけど、ちょっと違う発想を盛り込むのは。

梶原:これまで手掛けたアイテムより、だいぶふざけた発想だったと思います。これは笑い話ですが、ENGINEERED GARMENTSが某アパレルメーカーとコラボレーションした時に、大器さんがシャツのワンポイントとして馬とペンギンとワニがついているものを提案したという話を聞いて(笑)。

梶原:そういったユーモアの感覚がアリならば、思い切った遊び心があるディテールのアイテムが一緒に作れるのではないかと感じて、恐る恐る相談してみました(笑)。

—アイディアをデザインに落とし込む上で、難しかった点はありましたか。

鈴木:作る上で難しいことはありませんでしたが、プルオーバーのディテールでフルオープンのシャツを作るのは初めてのことでしたね。物として売っているのも見たことがないかな。プルオーバーは個人的にも好きなデザインなので、楽しんで取り組みましたよ。僕たちの世代は好きな人が多いんじゃないかな。

梶原:プルオーバーは、時としてかわいくなりすぎちゃうのを解消したかったんです。ジャケットを着ても、どうしてもお腹あたりのデザインが全くない状態になる。何かしらあったほうがスタイリング自体は決まると思うんですよ。でもどうしても剣先のディテールは残したくて。双方の見た目のいいとこ取りをしたということです。

—ビッグシルエットのシャツは、どのあたりに大人に向けた工夫がされているのでしょうか。

鈴木:トレンドからだいぶ定着してきたビッグシルエットだけど、若い人がやっているような単純に大きいサイズを着ている感じは、大人が着るには難しいよねと話していて。それで頭に浮かんだのが、90年に始まったRALPH LAURENのビッグシャツというシャツ。一時かなり流行った、ビッグシルエットのアイテムです。あれがいま、大人には丁度いいんじゃないかなと。当時は何着か持っていたんですが、さすがにもう手元になくて。すぐにEbayからヴィンテージショップまで探しました。そしたら、ネットに採寸からシルエットまで情報公開している人がいたんです。メジャーメントを寄せてサイズ感を参考にしつつ、ダーツを寄せて少しシルエットをアレンジしました。

梶原:このプロジェクトのディスカッションをした時に「昔のポロみたいにやっといたよ」って言われて。すごい、どこからソースを持って来たんだろう?と思っていました。

鈴木:モデリングで形にして、塩梅を調整するのが面白かったです。作っていく行程で、これなら大人の男性も着こなせるといい手応えがありました。

—実際には、どのあたりにRALPH LAURENのビッグシャツのディテールをいかしたのですか?

鈴木:若い人たちが着ているビッグシルエットの服は、明らかに体に対して服が大きく見えるように着こなしているのが特徴です。感覚的には、80年代のデザイナーズブランドのシルエットが近いと思う。あの時代の服は、肩が思い切り落ちるように作られているのに、袖の長さは手の長さにあっているから袖自体はすごく短いんです。極端な話、広げて平置きにしてみると人形の服みたいな形だったりする。そこまでするのは、大人が着るにはちょっと厳しいと思いました。

梶原:「ストップ・メイキング・センス」のときのデヴィッド・バーンのような感覚ですね。

鈴木:肩に主張があるから、一目でデザイナーズものだと思わせるような迫力はあるんだけど、それだけだったりするから。でも、今回のシャツに関しては、袖幅はあるけど、肩のラインはちゃんと肩に合わせて作っています。ぱっと見の迫力よりも、リラックスした雰囲気を大事にしました。年齢を重ねた人は、もっとゆったりした洋服の方がしっくりくる。スーツにも言えることですが、クラシックでいいものは沢山あるけれど、いまは自然体なラインの方が丁度良く着こなせるし好まれるんです。あんまりかちっとしたアイテムを着るのは、ムードじゃないと思っています。

—90年代に、RALPH LAURENのビッグシャツをどのように着ていましたか。

鈴木:シャツをそのまま一枚で着て、ボトムはデニムですね。当時は、ビッグジーンズにビッグチノのように、とにかく大きいサイズのアイテムが主流でした。ただ、だんだんヒップホップ界隈の人にもウケてしまって。正直、それが理由であまり着なくなってしまったんです。いまも改めて見るとすごくかわいくて好きなんですが。当時は、RALPH LAUREN の広告もかっこよくて好きでしたね。

梶原:あの時代は、ボトムスにもボリュームがありましたよね。いま、RALPH LAURENもわかって90年代に大流行したアイテムを復刻させています。

—今回のコレクションは、主にオンラインセレクトショップのURBAN RESEARCH BUYERS SELECTで展開と伺っています。

梶原:これまでの「自分が着たいと思う服」シリーズを置いてくれているショップです。先程のビッグシャツはこちらのエクスクルーシブ。フェイクプルオーバーシャツには長袖もバリエーションにはあって、そちらは他のショップでも展開します。

鈴木:ネームも、ENGINEERED GARMENTS とLOWERCASEの名前が並んだものが付くんですよね。

梶原:はい、特別に作っていただいたネームが付きます。今後、このコレクションは、一部定番化をして色の展開を増やしていきたいと考えています。今回はイエローが出るのですが、ピンクの展開をしたいと思っているのでお楽しみに。