Talking about Watches
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Think about “new standard”

服好き3人によるものづくり談義。

これまでも、さまざまなブランドの背景や歴史を紐解くべく、デザイナーやディレクターとの対談を行ってきたURBAN RESEARCH BUYERS SELECT。今回は、WESTOVERALLSのデザイナー・大貫達正さん、SUN/kakkeのデザイナー・尾崎雄飛さんを招き、URBSで展開されているアイテムを通して、デザイナー目線とバイヤー視点で新たな時代のスタンダードについて語り合う。

“普遍性のあるものづくり=他では代わりのきかないもの”

──今回はデザイナーとバイヤー、それぞれの視点でお話を伺っていきたいと思います。まず村手さんにお聞きします。URBSは“逸品の一品”を集めるプロジェクトとしてアイテムをセレクト&別注していますが、そこには何か基準があるのでしょうか?

村手:そうですね…セレクトショップという枠組みの中でさらに厳選されたものということで、僕自身が信頼できるブランドのものを集めているといった感じでしょうか。

──それはプライベートでのお付き合いでの信頼というのも含めて?

村手:いえ、そんなことはないですよ。尾崎くんなんかは結構前から付き合いがありますが、達正くんとはまだここ数年の付き合いですし。それよりも“他では代わりのきかないもの”という視点で、純粋に作り出すものに惚れたかどうかで選んでいますし、二人の手掛けているブランドもそう。

大貫:へー、代わりがきかないものですか!

尾崎:今まで、(村手さんに)そんな風に言われたことなかったもので。

一同:(笑)

村手:もうちょっと分かりやすく説明すると、ある程度トレンドの軸というか世の中の流れで、どのブランドさんにも浮き沈みはあると思うんです。でも、なんとなくそこから一歩ハズれているというか、見方によっては僕がお取引させてもらっているブランドさんの中でも、若干異質な二人じゃないかなって思っていて。だからこそ世の中の波風にも左右されない。僕は取り扱う商品を“逸品”として集めているので、絶対にセールにかけたくないんです。そうなると今シーズン仕入れたものを来年も売っていくこともあり得る。その中で“普遍性のあるものづくり”を貫いている二人が作り出すアイテムは、現代において“他では代わりのきかないもの”になっているといいますか。

──確かにお二人のブランドを象徴するレザーとデニムは、ファッションにおいても普遍的なファブリックですよね。それぞれのブランドが作り出すプロダクトの魅力とはどこにあると思いますか?

村手:WESTOVERALLSはLevi’sやLeeなど歴史に裏打ちされた老舗がデニムブランドとしての大きな潮流だとしたら、そこと勝負していないというのが魅力の1つかなと思っていて。例えば、ものにこだわりセルヴィッチを使って3~4万円台なんてブランドは多いんですが、そうではなくこのワンウォッシュタイプなんかもこだわり抜きながらも1万9000円でやっている。そういうトコロってあんまり…いやほとんどいないんですよね。デニムという普遍的なアイテムに新たな価値を作りだしているという意味では、僕の目指す“ニュースタンダード”に成り得るのかなと考えています。

──YOUNG & OLSEN The DRYGOODS STOREについてはいかがでしょうか?

村手:ブランドとしては他のアイテムもラインナップされていますが、ウチではバッグをメインに取り扱わせてもらっています。このトートバッグだって元々はアウトドア用品という元ネタがある上で、そのオリジナルが放つヘリテージ然とした雰囲気をそのまま形にするのではなく、大人がキレイめの格好をした際にも持てるよう、上品に仕上げているのがすごく新しいなって。ずっと定番で展開されているこのタイプは正直、他のブランドさんでも似たようなものは作っていたりするんですが、やっぱり“どこか違う”んですよそこは!

尾崎:悪い意味ではなく“ちゃんとしてない”というのはあると思います。キッチリ作ってしまうとオリジナルが持つ雰囲気が出ず、どうしても今っぽくなっちゃうんですよね。裏地も付けていないし造り自体も簡素、だけど合理性を持って生まれてきた道具って考えると、裏地や内ポケットを付けたり、キーホルダー用のループを付けたりしちゃうとドンドン他の(ブランドの)ものと同質化してしまい、最終的には価格競争になってしまうわけです。その中で僕らのように小さなブランドがどう勝負すべきかとっていうところで、村手さんも仰ったように“全然違う価値観を生み出す”といった部分はありますね。

──なるほど。デザイナーのお二人もお互いの共通点はそこだと思いますか?

大貫:僕らの共通点を挙げるとすればお互いヴィンテージというか、“オリジナルと呼ばれるものが好き”という点ですかね。ちゃんとそれを自分自身で買って・見て・使って、理解した上でものを作るので、さっき仰っていた“どこか違う”という点があるとすれば、ちゃんと(原典が)分かっているからこそ必要な部分は残しつつ、かといってオリジナルに沿いすぎないようにあえてハズしていくことが出来る。そこなのかなって思いますね。彼(尾崎)なんかは特に上手いですし。

村手:二人とも押し付けがましさがないのがイイんですよ。特にヴィンテージなんて詳しいとそれをどうしても前面に出しがちで、時にそれがヘビーに感じることもあるじゃないですか? その点、そのバランス感を上手に捉えているというか。

キーワードは“女性にウケる”かどうか。

──今日は両ブランドのアイテムもお持ちいただきました。YOUNG & OLSEN The DRYGOODS STOREのレザートートバッグはURBSのカラー別注とのことですが。

村手:このバッグ自体はずっと継続して展開していくつもりだったんですが、尾崎くんから今回「展示会に出していないカラーがあるんだけど、どうですか? 」と提案いただいたのが、元ネタになった40年代のバッグのオリジナルカラーに近づけたもので。それで僕もヴィンテージが好きで、元ネタについてもモチロン知っていたので、このようなカラー別注という形で実現しました。先ほど言いましたが、高い値段設定でちゃんと作ったらラグジュアリーにも出来るんですが、あえて100%でいかない絶妙なサジ加減だから、ラフに取り入れることが出来るっていうのが魅力で。
僕自身、キッチリ完成されすぎているのではなく余白部分があるものに魅力を感じるというのもありますし。

──とても素敵な色味ですが、なぜ展示会ではラインナップからハズしていたんですか?

尾崎:いや、ヴィンテージ感が強すぎて、いや、女性にウケないかなと思って(笑)。個人的にはいちばん好きな色だし、ラインナップにも加えたかったんですけど、今シーズンで展開しているイエローやブルーなどの色と一緒に並んだ時に負けちゃうし、定番人気を誇っているベージュとも食い合っちゃう。なので展示会のラインナップからはハズしていたし、サンプル段階で終わっちゃうかなと思っていたので、こういった形でリリースすることが出来て僕自身も嬉しいです。

村手:二人ともちゃんと考えた上で提案してくるので、僕からそれに対してNOということは基本的にありません。

──一方WESTOVERALLSでは、定番モデルと今シーズンからスタートしたレーベルSTA-WEST’Sのモデルをご用意いただきました。

大貫:元々、僕自身はヴィンテージデニムがめちゃくちゃ好きだったんですが、小柄でO脚ということもあって、ジーンズを格好良く穿きたくても似合わなくて。そこで同じような悩みを持っている人たちにも格好良く穿いてもらえるように考えて提案してきたWESTOVERALLSが、ありがたいことに徐々に受け入れてもらえるようになってきて。それで今回、新たなレーベルともども取り扱っていただくことになりました。

──いわゆるデニムブランドの取り扱いはこちらのみですが、“ニュースタンダード”としてのポイントは?

村手:WESTOVERALLSだけでなく、両ブランドとも“女性にウケる”というキーワードはあるのかなって思うんですけど、どう?

尾崎・大貫:あ〜、そうですね。

──たしかに! WESTOVERALLSは特に女性支持率が高いですよね。

大貫:女性って「ヒップ周りもすごく気になるけど、ウエストはピッタリで穿きたいし脚はキレイに見せたい」とか、自分の理想を叶えてくれるかということにすごくシビアなんですよ。そうなると今までのデニムでは限界があるんです。その点、ウチでは隠したい部分をカバーし、見せたい部分を細くキレイに見えるように設計されているので、「一度穿くと今までのデニムがもう穿けない」って声もよく頂きますし、そう評価してもらえているのはすごく嬉しいですね。

村手:それこそ男性にも支持されている理由だと思うんですよね。僕も過去にはそうでしたが、ヴィンテージって穿き心地やシルエットの点ではどこか無理を強いられる部分があると思うんですよ。「それでもヴィンテージだから」と自分に言い聞かせながら穿いていたのが“ストレスなく、すんなり格好良く穿ける”ものになったというのが、今の空気感にマッチしているんじゃないかなって思っています。

──今後はインラインの展開以外に、別注アイテムなんかも作ったりされるんですか?

村手:無理して別注するのはあんまり好きじゃないので、タイミングが合えばですね。今って、一昔前みたく別注だからお客さんが買ってくれるっていう時代じゃないですし。

いちばんは“買ってくれたお客さんに喜んでもらいたい”という思い。

──なるほど。別注に対するお客さんの反応のように、ものづくりをする上で時代ごとに変わっていく部分は少なからずあると思います。平成も終わりを迎えようとしている今、デザイナーのお二人はどのように感じていますか?

尾崎:トレンドの流れがあるとしても僕はそことは違う所にずっと留まっているような感じなので、だからこそイイって思ってくれる人がいたら、そういう人と長くお付き合いしていこうと思ってきたし、そもそも(時代に合わせて)一生懸命走りまわる気は最初からあんまり持ち合わせていませんね。ただ、サイズ感や「こういうアイテムが欲しいな」っていう部分では、ちょっとした自分の気分が反映されることはありますよ。

──とはいえ、あまり時代には左右されないと。

尾崎;僕自身が段々と色んなものに対しての興味が失われていっていて、流行から置いてけぼりになっているからでしょうね。

村手;そうなの(笑)? でも、僕もだけどみんなそうなのかもしれないね。自分の中では世間からズレているように感じるかもしれないけど、「流行を追う必要性があるのかな?」って疑問に思うところもボチボチ出てきているのかなって。

尾崎:それこそ時代なんですかね?

村手:だと思いますね。世の中の色々なものがフラットになってくると、あとは“自分がなにをしたいのか”っていう部分がいちばん重要になってくる感じはするし、むしろそれがないと成功しない時代になってきているんじゃないかな。実際、服の売れ方っていうのもそう変化してきていますし。

尾崎:そうなんですか?

村手:いや、分からないけど(笑)。

尾崎:(笑)。まぁ、以前は大きい企業が打ち出したトレンドをみんなが追従していく感じでしたが、今は小さい規模でも格好いいコト、可愛いコトをしている人たちを大きな企業がSNSで見つけて追っかけるっていうパターンが増えているようには感じます。「じゃあ、僕らはどうするか?」といったら、自分がイイと思うものを淡々と作って、ちゃんとそれが売れていくっていうのが、本来デザイナーの仕事としての正しい姿なのかなって気はしています。

大貫:僕も同じ。とにかく買ってくれたお客さんに喜ばれたいんです。そうして褒められたり認められるのがすごく嬉しくって。

尾崎:これは絶対に書いておいてください(笑)!

村手:彼はいつもこれを言ってるからね(笑)。でも実際、それがいちばん大事だと思いますよ。

大貫:そういう嬉しさがいちばん欲しいんだって気付いたんですよ。周りにいる村手さんや尾崎さんのようなスペシャリストと対等に付き合っていくためには、“これだけは人に負けない”ってものが必要。僕にとって唯一そう胸を張って言えるのが、幼少期からずっと好きだったジーンズだったので、これでいこう! って。
よく言うんですけど、ウチはファッションブランドではなくってジーンズブランドなんです。だからこそ定番は常に残していかなきゃいけないし、もしそれが今までの自分になかった新しい感覚のものでも、自分自身が格好いいと納得できるなら作っていきたいなとは思っています。

尾崎:彼は真面目なんですよ。

大貫;見た目はこうですけどね、実はそうなんですよ(笑)。

──では、最後に村手さんにURBSとしての今後の展望をお聞きします。

村手:どうなんでしょうね。昨今セレクトショップという業態も規模感が大きくなり過ぎているように感じるので、もっとパーソナルに作り手や売り手の顔が見える商売をやっていきたいとは思っています。もちろんビジネスではあるので商品が売れて利益をちゃんと上げるっていうのは大事。ちゃんと結果を出さないと認めてもらえないですし。
あとはそこから最終的に何を目的とするかっていう部分で、先ほど達正くんも言ったように“お客さんに喜ばれたい”、それによって次も頑張ろうって思えるし。ただ商品を売って終わりではなく、お客さんともう少し深い付き合いが出来たらとは前々から考えていて。例えば、お客さんがデザイナーと直接会って話をするなんてなかなかないと思うので、そういった機会を設けるなんてのもイイでしょうし。そうやって誰かの人生をハッピーにさせることが出来たら素晴らしいんじゃないかなって。
今はECサイトという業態で展開していますが、そこでもどれだけ接客が出来るのか? という部分は重要で。熱量を持ってやっていかないと、自分らが扱っている商品の良さを伝えることなんて決して出来ませんからね。それこそがURBSとして今後やっていかなきゃいけない課題だと思っています。

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